予防歯科は、痛みや腫れが起きてから歯科医院を受診するのではなく、定期的に歯科医院へ通うことでお口のトラブルを予防するという考え方です。ご自宅で行うセルフケアと歯科医院で受けるプロフェッショナルケアを併用し、歯の健康維持と全身の健康増進を実現します。
当院では、患者さん1人ひとりに合わせた予防ケアに努めております。むし歯や歯周病になりにくい口腔環境を目指しつつ、地域の皆さまのQOL(生活の質)向上のサポートを行っておりますので、お口に関することは何でもお気軽にご相談ください。
「8020運動」をご存知ですか?
8020(ハチマルニイマル)運動とは、80歳で20本以上の歯を残すことを掲げた運動です。日本の2016年の統計では、80歳の平均残存歯数は17本と、20本を下回っています。80歳で20本以上の歯が残っている国も多いことから、良い結果とは言えないでしょう。
将来的な平均残存歯数には、定期検診を受けるかどうかが大きく関係しています。定期的な歯のクリーニング、歯磨き指導によるセルフケアの質向上などを通じ、より多くの歯を残せるようサポートいたします。
通院や治療費の負担を軽減できる
定期検診では、日々の歯磨きでは落としきれない歯垢や歯石を除去したり、むし歯や歯周病の有無をチェックしたりします。歯のトラブルを早期発見・早期治療することで、将来的な大きなトラブルを防ぐことができます。トラブルが大きくなると、処置の内容が複雑になり通院回数が増え、治療費の負担が大きくなりやすいです。小さな変化や病気の予兆を見逃さないためにも、定期検診を受けていただくことをおすすめします。
当院の定期検診について
定期検診の内容・流れ
定期検診では、患者さんのお口の中の状態を把握することから始めます。口腔内写真撮影やレントゲン撮影、歯周病検査、磨き残しのチェックなどを行います。その後、歯に付着した細胞膜や歯石を取り除き、セルフケアの質向上のための歯磨き指導を実施するのが基本的な流れです。また、患者さんのご希望や必要性に応じて、噛み合わせの検査や唾液検査、食習慣の確認などを行います。
定期検診を受けるメリット
- むし歯や歯周病を早期発見できる
- むし歯や歯周病の治療の負担を軽減できる
- セルフケアの質が高まる
- 歯の健康維持に対するモチベーションが上がる
- 自分に合ったセルフケアがわかる
定期検診に通う頻度
定期検診に通うベストな頻度は、生活習慣や食習慣、お口の中の状態などで異なります。2~3ヶ月ごとに1回程度のペースで通っていただくことが基本ですが、患者さんに合わせてベストな頻度をご提案しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
当院の予防システム「GBT」
GBT(Guided Biofilm Therapy)とは、歯に付着したバイオフィルムを除去する新しい予防システムです。バイオフィルムとは、歯の表面に付着する細胞膜のことです。風呂の排水口のネバネバしたものもバイオフィルムであり、さまざまな細菌が含まれています。GBTでは、バイオフィルムを染色によって可視化することで、容易に除去できるようにします。
PMTCの場合は歯の表面を器具で擦るため、必ず目に見えないほどの傷がついてしまいます。細かい傷が歯の表面に付くことで着色やプラークの付着がしやすくなってしまうのです。しかし、GBTは細かい粒子を噴射して行うため、歯を傷つけることなく予防ケアが可能になります。
GBTと従来の予防処置との違い
GBTでは、特殊なパウダーを機械で吹きかけてバイオフィルムを除去します。歯や歯茎にはダメージを与えないため、痛みはほとんどありません。また、特殊な症例を除き外科手術も不要です。さらに、矯正治療や審美治療を受けている途中の方、インプラント治療を受けた方、お子さまなど、多くの患者さんに適用できます。
当院がGBTをおすすめしている理由
従来の予防歯科は歯磨剤による歯の機械的研磨がメインでしたが、GBTはバイオフィルムに着目したシステムです。
バイオフィルムは粘性のある細菌膜のことでむし歯や歯周病の原因となります。
こういったバイオフィルムは簡単には除去ができないためGBTが有効です。
GBTは消毒剤や抗菌剤を使用せず、特殊なパウダーを吹き付けてバイオフィルムを除去するため、痛みもほとんどなく、歯を傷つけないため、歯に優しい治療法です。
そのため、GBTは矯正治療中や入れ歯をしている方、審美治療をしている、インプラントをした方や子どもやむし歯予防など様々な効果があるため当院ではGBTをお勧めしています。
GBTを行う目的
健康な歯質の維持
GBTの目的は、歯茎や歯へのダメージを抑えつつ、バイオフィルムを取り除くことがです。健康な歯を守るためには、バイオフィルムの定期的な除去が欠かせません。GBTによる低侵性により、象牙質・セメント質・エナメル質などの歯を構成する組織や、歯ぐきなどの歯周組織をできるだけ傷つけずに健康を維持していくことができます。
むし歯の予防
バイオフィルムは染め出しにて可視化ができるため除去が容易になります。
歯と歯の間などの細かい隙間もしっかりクリーニングができるため、むし歯予防を行うことができます。
万が一小さなむし歯があっても見落とさずに早期発見することができます。
歯周病・歯肉炎
GBTは歯と歯ぐきの境目はもちろん歯周ポケットに隠れた歯根部分に付着したバイオフィルムや歯石も、歯面・歯肉・歯根へのダメージを抑えて除去することができます。歯肉炎はエアフローを用いることで痛みや不快感を抑えて治療をすることができます。
矯正装置の維持
ワイヤーとブラケットを使った矯正装置を装着している歯には、バイオフィルムが溜まりがちです。歯ブラシが十分に届かず、バイオフィルムによって歯周病やむし歯、歯の摩耗を招きます。GBTを受けていただくことで、矯正装置を傷つけることなくバイオフィルムを除去できます。
審美修復物の維持
歯周病が進むと歯茎が退縮し、審美修復物に悪影響が及びます。定期的にバイオフィルムを取り除くことで、審美修復物の品質を維持できます。
同時に歯面に付着したステイン・着色汚れも除去することで美しさを保つことができます。
インプラントの維持
GBTでインプラント表面や周囲組織へのダメージを抑えたバイオフィルムの除去により、インプラントにおいて厄介な歯周病(インプラント周囲炎)を予防できます。万が一炎症を起こしても、周辺組織の出血を抑えて歯石・バイオフィルムを除去します。
当院の予防メニュー
むし歯や歯周病を改善しても、歯の健康を損ねる要因を取り除かなければ何度でも再発します。当院では、2~6ヶ月に1回のペースで定期検診に通っていただくことをおすすめしております。
サリバテスト(唾液検査)
むし歯の原因には、唾液の量や質も関係しています。サリバテストは、唾液の量や作用の強さ、虫歯菌の数、むし歯の進行を促す菌の数、食事内容や習慣などの検査です。ご自身のむし歯リスクを正しくご理解いただき、口腔環境の改善のモチベーションを高めていただきます。
口腔内検査
むし歯や歯周病のチェックを行います。どちらも無症状で進行するため、気になる症状がなくてもむし歯や歯周病があるケースは少なくありません。
レントゲン撮影
1~2年に1回はレントゲン撮影を受けることで、むし歯や歯周病、顎関節症などの病気を早期発見できる可能性が高まります。当院では、被ばく量が少ないデジタル歯科用CT・レントゲンを導入しております。
口腔内写真
口腔内写真を撮影することで、患者さんが客観的な視点でご自身のお口の中の状態を見ることができます。メンテナンスの必要性、歯磨きの質に対する認識などが高まると、モチベーションアップに繋がります。また、治療の前後でどのように変化したのかをご確認いただくことで、予防の意識が身につくでしょう。
歯周ポケット検査
プローブという器具で歯と歯茎の境目の歯周ポケットの深さを調べます。定期検診の度に行い、歯周病の早期発見・早期治療を目指します。
ブラッシング指導
十分に歯磨きをしているのにむし歯になる場合、ご自身に合った歯磨きができていない可能性があります。染色液で歯に付着した汚れを染め出して、磨けていないところをチェックいたします。そして、歯ブラシの選び方、持ち方、歯磨きの方法などを歯科衛生士がアドバイスいたします。
スケーリング(歯石取り)
スケーラーという器具で細胞膜や歯石を除去します。歯石は、下あごの前歯の裏と上奥歯の頬側につきやすいといわれています。
スケーラーとよばれる器具で手で取り除く方法と、超音波を発生させる機械(超音波スケーラー)などで除去する方法があります。
フッ素塗布
フッ素には、歯の再石灰化のサポートや歯質の強化、むし歯菌の活動抑制などの効果があります。歯にフッ素を定期的に塗ることで、むし歯予防に繋がります。ご家庭でも、フッ素入り歯磨き剤を使用することをおすすめします。